輸入でかかる税金は3つ。前の税額を使って順番に計算する

🧾 課税価格 × 関税率 ① 関税 🧾 課税価格 + ① 関税 × 7.8% ② 消費税 ② 消費税 × 22/78 ③ 地方消費税
税額は上から順に計算する。前の段の結果が、次の段の計算に使われる(標準税率の場合)

関税・消費税・地方消費税の3つを、輸入の許可を受ける前に納める

商品を輸入するときに納める税金は、主に関税、消費税、地方消費税の3つです。
どれも、原則として輸入の許可を受ける前に納めます。
3つの関係を表にまとめると、次のようになります。

税金何にかかるか税率
関税課税価格品目と原産地によって決まる
消費税課税価格 + 関税(酒類などは酒税なども足す)7.8%(軽減税率の対象は6.24%)
地方消費税消費税の額消費税額の22/78

消費税と地方消費税を合わせると10%になる

消費税7.8%と地方消費税(消費税額の22/78)を合わせると、合計10%です。
食品などの軽減税率の対象は、6.24%と1.76%で合計8%になります。
ふだんの買い物の消費税と同じ率ですが、かける相手が「課税価格+関税」である点が、輸入ならではの違いです。

STEP1:課税価格は、商品の代金に日本の港までの運賃と保険料を足した額

💰 商品の代金実際に支払う価格
+
🚢 運賃輸入港に着くまで
+
🛡️ 保険料輸入港に着くまで
+
📦 そのほかの費用容器・包装など
=
🧾 課税価格関税がかかる額
課税価格は、代金に費用を「足し上げた」額。いわゆるCIF価格にあたる

代金に含まれていない運賃・保険料は、足して計算する

課税価格は、実際に支払う(または支払うべき)商品の価格に、その価格に含まれていない費用を足して計算します。
足す費用の代表が、輸入港に着くまでの運賃と保険料です。
このため課税価格は、取引条件でいうCIF価格(運賃・保険料込みの価格)にあたります。

たとえば、輸出国の港で船に積むまでの価格(FOB)や、工場での引き渡し価格(EXW)で買った場合、その価格には日本までの運賃や保険料が入っていません。
この場合は、別に支払う運賃や保険料を足してから税率を掛けることになります。
取引条件ごとの違いは、インコタームズの記事で説明しています。

運賃・保険料のほかにも、足す費用がある

運賃と保険料のほかにも、買い手が負担していて商品の価格に含まれていない次のような費用は、課税価格に足します。

  • 容器や包装の費用買い手が負担した、輸入する商品の容器・包装の費用
  • 手数料仲介手数料など(買い付けを代理する人に払う買付手数料は除く)
  • 無償や値引きで提供したもの商品に組み込む材料・部品、生産に使う金型や工具、設計などの費用
  • 特許権・商標権などの使用料その商品を輸入する取引のために、買い手が支払うもの
📌 外貨の価格は、税関が公示するレートで円に直す

インボイスがドルや人民元などの外貨で書かれている場合は、円に直してから計算します。
使うのは、取引した日や支払った日のレートではなく、税関が毎週公示しているレートです。
このレートは、輸入申告の日が属する週の前々週の、実勢レートの平均をもとに決められています。

STEP2:関税率は品目と原産地で決まり、使える中で低い税率が適用される

  1. 1
    品目を決める(HSコード)関税率表のどこに分類されるかで、使える税率の候補が決まる
  2. 2
    原産地を確かめるどの国で作られたかで、特恵税率やEPA税率が使えるかが変わる
  3. 3
    使える税率の中から決まる原則、特恵税率 → 協定税率 → 暫定税率 → 基本税率の順に優先。EPA税率は条件を満たせば使える
税率が決まるまでの流れ

まず、品目がどこに分類されるかを決める

関税率は、貨物の種類と原産地によって決まります。
最初に、輸入する商品が関税率表のどの品目に当たるか(いわゆるHSコード)を決めます。
分類が変われば税率も変わるため、ここが計算の出発点です。

税率には種類があり、優先して使われる順番がある

1つの品目に、複数の税率が設定されていることがあります。
主な税率は次の通りです。

税率どんな税率か
基本税率長期的な観点から設定されている、もとになる税率
暫定税率一定期間に限って、基本税率に優先して使われる税率
協定税率WTO加盟国などからの輸入品に、これ以上の関税を課さないと約束している税率。基本税率・暫定税率より低い場合に使われる
特恵税率開発途上国・地域からの輸入品に、原産地証明書の提出などの条件を満たすと使える低い税率
EPA税率経済連携協定を結んでいる国からの産品に、協定の原産地規則などを満たすと使える税率

使える税率を、順に確かめる

原産地によって使える税率が変わるため、確かめる順番を図にすると次のようになります。
最終的な税率は、実行関税率表と税関・通関業者への確認で決めてください。

flowchart TD
  A[品目を分類してHSコードを決める] --> B{EPAの原産地の条件を満たす?}
  B -- はい --> C[EPA税率が使えるか確かめる]
  B -- いいえ --> D{特恵の対象国で原産地証明書がある?}
  D -- はい --> E[特恵税率が使えるか確かめる]
  D -- いいえ --> F[協定税率・暫定税率・基本税率から決まる]
      
原産地の条件を満たすかどうかで、確かめる税率が変わる

例:同じコーヒーでも、使える税率で0%にも12%にもなる

たとえば、ベトナムから輸入する煎ったコーヒー(カフェインを除いていないもの)で見てみます。
この品目には、次の4つの税率が設定されています(令和7年4月1日現在の税率)。

基本税率20% 協定税率12% 特恵税率10% EPA税率無税(例:CPTPP)
ベトナム産の煎ったコーヒーに設定されている税率(令和7年4月1日現在)

ベトナムの原産品であるなどEPAの条件を満たせば、いちばん低いEPA税率が使われて無税になります。
条件を満たさない場合、この品目ではEPA税率が特恵税率より低いため特恵税率は使われず、次に低い12%の協定税率になります。
同じ商品でも、原産地を証明できるかどうかで税額が大きく変わる、ということです。
EPA税率を使うための手続きは、EPA原産地証明の記事で説明しています。

STEP3・4:関税と消費税を、端数を切り捨てて計算する

課税価格1,000円未満を切り捨てる
534,795円 → 534,000円
① 関税(税率14%)534,000円 × 14%。100円未満を切り捨てる
74,760円 → 74,700円
消費税をかける額534,795円 + 74,700円。1,000円未満を切り捨てる
609,495円 → 609,000円
② 消費税(7.8%)609,000円 × 7.8%。100円未満を切り捨てる
47,502円 → 47,500円
③ 地方消費税(22/78)47,500円 × 22 ÷ 78。1円未満を切り捨てる
13,397円
計算例(課税価格534,795円、関税率14%、消費税は標準税率の品目)

STEP3:関税は、課税価格の1,000円未満を切り捨ててから計算する

関税は、課税価格の1,000円未満を切り捨てた額に関税率を掛けて計算します。
出てきた関税の額は、100円未満を切り捨てます。
上の例では、534,795円を534,000円にしてから14%を掛け、74,760円の100円未満を切り捨てて74,700円になります。

STEP4:消費税は、課税価格と関税を足した額にかける

消費税をかける額は、課税価格に、端数を切り捨てた後の関税額を足した額です。
例では534,795円に74,700円を足して609,495円となり、1,000円未満を切り捨てた609,000円に7.8%を掛けます。
地方消費税は、出てきた消費税額47,500円に22/78を掛けて求めます。

📌 品目がいくつもあるときは、最後に合計して切り捨てる

1回の輸入で税率の違う品目がいくつもある場合は、品目ごとに上の順番で計算し、最後に税金ごとに合計します。
たとえば上の品目と、課税価格126,258円で関税率14%・消費税は軽減税率の品目を一緒に輸入する場合、合計は関税92,400円、消費税56,400円、地方消費税15,900円になっています。
合計した消費税と地方消費税は、それぞれ100円未満を切り捨てた額になります。

【逆引き】計算に使う数字は、手元のどの書類にあるか

📄 インボイス品名・数量・価格 📄 運賃・保険料明細港までの運賃・保険料 💱 公示レート外貨を円に直す 課税価格 × 関税率 📘 関税率表品目ごとの税率 📄 原産地証明書特恵・EPA税率に必要
左の3つで課税価格を、右の2つで関税率を決める

必要な数字と、それが書かれている書類

計算に使う数字は、輸入申告のときに税関へ出す書類の中に、ほぼそろっています。
見積もりの段階で「この数字はどこを見ればいいか」と迷ったときに使ってください。

計算に使う数字見る書類・情報気をつけること
商品の価格インボイス(仕入書)取引条件(FOB・CIFなど)を見て、運賃・保険料が含まれているかを確かめる
輸入港までの運賃・保険料運賃明細書・保険料明細書価格に含まれていなければ、課税価格に足す
容器・包装、金型などの費用契約書・価格表買い手が別に負担していれば、課税価格に足す
円に直すレート税関が毎週公示する外国為替相場支払った日のレートではない
関税率実行関税率表(品目=HSコードで引く)原産地によって使える税率が変わる
特恵税率・EPA税率を使う根拠原産地証明書など提出できないと、低い税率は使えない

分類や税率に迷ったら、輸入の前に税関へ照会できる

品目の分類や原産地の判断に迷う場合は、事前教示制度を使って、輸入の前に税関へ照会できます。
文書で照会すると文書で回答があり、その回答は原則3年間、輸入の審査で尊重されます。
電話や窓口での口頭の照会もできますが、審査で尊重されるのは文書の回答です。
税番と税率が前もって分かるので、原価の計算がより確実になります。

よくある質問

関税が無税EPAなど
→
消費税はかかる課税価格+0円にかかる
関税が0円でも、消費税と地方消費税は納める
Q. 関税が無税なら、消費税もかかりませんか?
いいえ、かかります。
消費税は「課税価格+関税」にかかるため、関税が0円でも、課税価格に対して消費税と地方消費税がかかります。
EPA税率などで関税が無税になる場合も、消費税の分は原価に入れておく必要があります。
Q. 金額が小さい貨物でも、同じ計算ですか?
課税価格の合計が20万円以下の一般の輸入貨物には、品目を6つの区分などに大きく分けた簡易税率が使われます。
ただし、輸入者が貨物の全部について一般の関税率を希望すれば、一般の税率で計算します。
また、簡易税率には消費税と地方消費税は含まれていないため、それらは別にかかります。
Q. 為替レートは、支払った日のものを使えばいいですか?
いいえ。
課税価格を円に直すときは、税関が毎週公示しているレートを使います。
輸入申告の日が属する週の前々週の実勢レートの平均をもとに決められていて、税関のホームページで確認できます。
Q. 見積もりの段階で、正確な税額を知る方法はありますか?
品目の分類や原産地の判断があいまいなままだと、税率が変わり、税額も変わります。
前もって確実にしたい場合は、事前教示制度で税関に文書で照会すると、税番と税率が分かり、原価計算がより確実になります。
実際の申告は、依頼する通関業者とも数字を確認しながら進めてください。